当院では各種予防接種も実施しています。予防接種は細菌やウイルスによる様々な感染症への感染や重症化の予防が期待できるものです。高齢で免疫力の低下している方や、持病かある方は、感染して重症化する恐れがありますので、予防接種しておくことをお勧めします。
人間には一度体に侵入してきた細菌やウイルスなどの病原体が、再び体内に入ってきた際、その病原体に対抗する「免疫システム」があります。予防接種で使用するワクチンはこれを利用したもので、ワクチンの種類としては、主に以下のようなものがあります。
ワクチンの種類 | 作られ方 | 対応する主な感染症 |
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生ワクチン | 生きたウイルスや細菌の毒性を最大限弱め、病原体をそのまま使用したもの | 風疹や麻疹 など |
不活化ワクチン | ウイルスや細菌を加熱処理、フェノール添加、ホルマリン処理、紫外線照射などで無害化したもの | インフルエンザや肺炎球菌、百日咳、子宮頸がん など |
トキソイド | 細菌の毒素だけを取り出してホルマリン処理を行い、無毒化したもの | ジフテリアや破傷風 など |
mRNA (メッセンジャーRNA) ワクチン |
ウイルスのタンパク質をつくるもとになる遺伝情報の一部をmRNAに乗せて投与するもの | 新型コロナウイルス など |
など
など
肺炎球菌は、肺炎を引き起こす原因の第1位となっている細菌です。肺炎は日本人の死亡原因の5位に位置しています。肺炎球菌は身近によくある菌ですが、免疫力が低下していると発症しやすくなるため、高齢になるにしたがって危険性が増します。肺炎の発症や重症化を予防するためにも、接種しておきましょう。
肺炎球菌ワクチンは65歳の方および60歳から65歳未満の方で一定の条件を満たす方に定期接種となっています。詳しくはこちらをご参照ください。→小田原市 | 高齢者肺炎球菌ワクチン予防接種
子どものころなどにかかった水ぼうそうの(水痘)のウイルスが神経に潜伏していて、それが免疫力の低下にともなって再び活性化し、発症するのが帯状疱疹です。肋間神経などの神経に沿って痛みを伴った疱疹が現れるのが特徴です。顔や腕、足などにも発症することがあり、治った後も痛みが残る、帯状疱疹後神経痛を引き起こすこともあります。50歳以上になると発症することが多いため、50歳を超えたら接種することをお勧めします。
帯状疱疹ワクチンには生ワクチンと不活化ワクチンがあります。小田原市では接種費用の一部助成がありますので、こちらをご参照ください。→小田原市 | 帯状疱疹ワクチン接種費用の助成について
「3日ばしか」とも呼ばれる風疹はウイルスにより感染し、発熱や発疹、リンパの腫れなどの症状が現れます。小児がかかりやすい病気とされていますが、成人でも罹患することがあり、その場合、重症化して脳炎や血小板減少性紫斑病を併発する危険性もあります。また妊娠初期の妊婦の方が罹患すると、赤ちゃんに感音性難聴や心疾患、白内障などが現れる「先天性風疹症候群」を引き起こすリスクがあるため、妊娠の予定または希望のある方や、パートナーをはじめその周囲の方はワクチン接種しておくことをお勧めします。
小田原市では風しんワクチンに対する一部助成があります。詳しくはこちらをご参照ください。→小田原市 | 風しん予防接種(大人の任意予防接種)
インフルエンザに罹患すると、高齢の方では肺炎を併発することが少なくなく、毎年多くの人がインフルエンザへの罹患をきっかけとして命を落としており、その数は年間約1万人といわれています。また小さなお子さまでは中耳炎や、インフルエンザ脳症を引き起こす場合があります。こうしたリスクを軽減するためにも予防接種しておくことをお勧めします。予防接種は接種後に効果が現れるまで約2週間かかるとされていますので、インフルエンザが流行する前の10月~12月中旬までに接種しておくことが望ましいでしょう。
インフルエンザワクチンは65歳以上の方で定期接種となっています。詳しくはこちらをご参照ください。→小田原市 | 高齢者インフルエンザ予防接種(令和5年10月1日〜令和6年2月29日)